学習と評価
学ぶことは、変わること。
ヨハネ研究の森での学びと、
評価に対する考えのご紹介です。
「基礎・基本」の知識の習得
ヨハネ研究の森における教科学習は、「基礎・基本」に相当する学力を身に付けるために、教科書や問題集・参考書と独自の教材を駆使して自分で計画を立て、自分のペースで行うことが期待されます。そのために、知識伝達型の授業は極力避けて、各自が行う学習の呼び水になることを意識した、議論展開型のゼミスタイルの学習を行います。
小・中・高とも自学用の教材を豊富に用意しています。また、その習熟度は調査テストなどで自らチェックし、先生の指導のもとに学習計画の練り直しを図りながら、未習熟のものに関しては、自ら再トレーニングを行います。自分に適したペースを許容されるため、遡って学習したり、先取り学習をしたりするなど、学年枠を超えた進度が可能です。
「基礎・基本」を発展させた、より深いテーマ学習
各教科に共通した分野や単元を社会・人文・自然・情報の諸科学に分類し、総合的な視野で知識を扱います。例えば、数の概念の講義やゼミ講座によって、「基礎・基本」で通過した算数や数学をもう一度見直し、具体的なテーマ追究の中で、より実践的な深い理解と論理的思考力を養うことができます。また、同時に、興味が自然科学、社会科学へと広がり、生徒独自の研究領域発見に繋がっていきます。
英語によるテーマ学習
単なる英会話ではなく、英語で議論、論文、レポート、エッセイ、プレゼンテーションができるようになるために、研究活動も英語で行えるようになることを目指します。これは、毎年1年間を通して行う統一の研究テーマを、日本語で考え、読み、書き、議論するように、英語でも実践の中でトレーニングを行います。
書物にかこまれた学びの空間
生徒がいつでも調べたいとき、読みたいときにすぐに手にすることのできる資料や本で満たされている環境。この環境は、自発的な学びの姿勢をつくるためには欠かすことができません。なぜなら、人は本を読むことによって、ありとあらゆる出会いをもつことができるからです。より深く、広く学習することを可能にしてくれるのも他ならぬ読書であると考えています。
「評価」をどう考えるか
ある一人の人について、どんなに部分を細かく説明しても、その人の全体を把握することはできません。たとえば、頭髪の本数、鼻の高さ、目の形や色、身長、体重、皮膚の色などをいかに説明しても、その人がどういう人であるかの全体像はつかめません。
ところが、これまでの評価は、学習をめぐって、このような部分的な把握の寄せ集めをしてきたのではないでしょうか。数学への関心・意欲・態度はどうか、数学的な考え方はどうか、数学的な表現・処理はどうか、などといったように学力をまず各教科に分断し、各教科をさらに細かい観点に分断して診断し、これらの項目にわたって高得点であれば優れていると言っているにすぎません。
しかし、身体的特徴がさまざまであるように、あることが「わかる」あるいは「できる」ようになるプロセスは人によって異なります。たとえば、一人の教師が小学校1年生に繰り下がりの計算を教えても、それを身につける仕方は実に様々です。だとすると、多少の欠点を補ってあまりあるよさがあるならば、その欠点をあげつらうことよりも、そのよさをきちんと評価できるような包括的な評価が、今こそ必要なのではないでしょうか。
今日求められている学力は、知識の量ではなく、その知識をもとに、たとえ未知の事態に際しても状況を把握し切り拓いていくことのできる力なのです。そして、そのことができるようになるためには、自分自身の力についての深い自覚が必要なのです。自分で自分のことを知る、これはそのような訓練をとおして初めて可能になります。
特に、毎日書く「今日の学習」や、毎年の締めくくりや卒業年次にまとめる「学びの自分史」は、自分の変化について振り返り、分析するまたとない機会となります。
ヨハネ研究の森では、「自己評価」を含めて、学びの全体像を描く新しい評価を研究開発しています。