原子力利用の歴史と人類の未来
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2011年6月18日(土)
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原子力発電所で使われる燃料ウラン。
カザフスタンで日本のウラン鉱山権益を獲得するプロジェクトで活躍されていた保護者の方をお招きして
お話をして頂きました。
商社マンの武器
こんにちは。今日は、みなさんにウランや原子力発電というものについてのお話をするという機会を頂き、
本当に楽しみにして来ました。
先ほど4年前に私が取材を受けたNHKの「クローズアップ現代 ウラン争奪戦」という映像を観てもらいましたが。
あの映像が流れたときは私はカザフスタンにおりまして、原子力産業の一番華々しいときに現場で日本のためにと思い、
目の前の仕事をきちんと進めていこうと思っていました。
私は長い間商社マンで海外駐在をしていました。
商社マンは、すべて数字で表現するという習慣があります。
放射能について話題にされるときにシーベルト、ミリシーベルト、マイクロシーベルトという単位が
ごっちゃになって議論されることがありますが、これは簡単に言えば、お小遣いが一100万円か、1000円か、
1円かというぐらい大きな違いです。
ですから、みなさんにはそのぐらい大きな違いがあるんだということをシーベルトやベクレルといった
放射能の単位についても注意をして見られるようになってもらいたいと思います。
それから、商社マンという仕事は日本で100円でこのペンを作って、中国に150円で売って50円の利益を
稼ぐという仕事です。そのための武器は言葉です。
ウラン権益獲得するためにカザフスタンの社長と何語で交渉したか分かりますか。
ロシア語なんです。交渉するときには必ず相手の母国語で交渉します。
というのは、母国語で交渉して細かいニュアンスをとらえて交渉するからです。
この人本当は売りたくないのかなとか、もっと高くても売れるのかなとか、
細かいニュアンスを感じるということは非常に大切でそのためのツールとして言葉が武器になります。
総合商社では英語は基礎。できて当たり前ということもありますので、みなさん、英語にプラスして何か好きな言葉を選んで
勉強して欲しいと思います。横瀬先生もおっしゃっているように1万時間やればできるようになります。
副産物としての原子力発電
それでは、原子力についてお話したいと思います。
原子エネルギーの発見、マリーキュリー婦人がそれを見つけてノーベル賞もとった。
これはみなさんしっかり勉強されていると思うので大丈夫だと思いますので、その辺の裏話から始めたいと思います。
原子力発電は熱で水を沸騰させ、蒸気でタービン回して電気をつくる。
原子力発電自体は副産物で、メインは原子力爆弾を作ることでした。1番の目的は爆弾です。
アメリカとソ連が競うようにして核実験をしていた時期が1960年代にありました。
みなさんが生まれる前ですね。その核実験により、ものすごい量の放射生物質が地球を覆っているのが現状です。
ですから、みなさん、福島原発が爆発して危ないと考えるよりも放射能が地球にはすでに蔓延しているということを
理解することが大切です。
こういった知識があれば福島原発は大変なことでしたがまだまだ救うことはできると思うことができるでしょう。
ソ連が実験した最大の水爆は、これを東京に落としたら九州まで漏れなく熱がいって
みんなバーベキューになってしまうような代物です。
そういうものをソ連やアメリカが作って、何が起きたか。
これはもう使えないと、地球を破壊してしまう。それで生産をやめた。
日本の原子力研究の現状
アメリカと日本の最大の違いは、日本が昭和20年に第2次世界大戦で無条件降伏をしまして、
そのときに戦勝国から禁止されたことがあります。それは航空機開発と原子力開発。
日本は原子爆弾を作ってはいけないと決まっています。
だから、原子力発電を進める上での基礎技術が日本にはありません。
ウラン燃料の濃縮も厳しく制限されて三パーセント程度。
福島の原子力発電所も一番重要なところはアメリカの企業が握っていてブラックボックスになっています。
対してアメリカの最新の原子炉は、ウラン濃度90パーセントの燃料を使っていて、
これはそのまま原子爆弾になる濃度です。これは50年、50万kwを燃料交換不要で発電できる。
そういう最新型の原子力を作って原子力空母を走らせています。
みなさんに私がお願いしたいのは、みなさんはこうした現状を認識して、10年後日本でもこうした発電所を作ってもらいたい。
もし地球寒冷化が起きたら
2050年に人口90億人になる。今、日本で100万kwの発電所が何人をカバーしているかというと53万人です。
つまり、90億人が日本と同じ生活をするためにはおよそ1万7000機の発電所が必要です。
この数は、今人類が持っている発電機の倍になります。たとえ、それだけ発電所を作っても燃料が足りなくなります。
だから人口が90億人になったときにいいことは1つもありません。30年後にいいことは1つもない。
寒冷化で食糧難が起こったり、原子力も使えないとなると、電力の使用量を10分の1に減らすことが必要になるかもしれない。
日本に住んでいる人はできない。アフリカとかではできるかもしれないですけどね。
だから将来は決して明るいとは言えない。30年後は高齢化社会。年寄りが町にあふれ、さらに寒冷化するかもしれない。
そうすると地球上に難民があふれ出すということが予想されます。
ですから、みなさんはそういう暗い将来を見つめる。将来はバラ色ではないと。
だからヨハネ研究の森で自分のスタイルを築き、30年後の暗い時代に対応することが必要だと思います。
最後、ちょっと暗かったですかね(笑)
でも、だからこそ皆さん頑張って下さい。
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