『奇跡の人』 のあらすじ
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作者:William Gibson (1956年)
■アラバマのケラー家。アーサー・ケラー大尉とその妻ケートがベビー・ベッドを心配そうに覗き込んでいる。1才半の娘ヘレン・ケラーが熱を出したのだ。やっと熱が下がり安心したのも束の間、ヘレンは音にも光にも全く反応しなくなっていた…。
それから5年。それ以降、ヘレンは見えない、聞こえない、しゃべれない世界を生きている。そして、それゆえ甘やかされて育てられたヘレンは、わがまま放題。まるで暴君のように振る舞うヘレンを、家族はどうすることもできない。そんな折、ボストン・パーキンス盲学校の生徒アニー・サリヴァンの元に、ヘレンの家庭教師の話が舞い込んでくる。誰もがお手上げの仕事ではあったが、孤独で貧しい環境を20才まで生きてきたアニーは、自立という人生の目標を達成するため、初めて得た仕事に果敢に挑戦しようとする。はるばる汽車を乗り継いでケラー家にたどり着いたアニー。アーサー、そしてヘレンの義兄ジェイムズ、エヴァ伯母は、余りにも若い家庭教師に疑念を抱くが、ケートだけはアニーに望みを掛ける。そして、アニーとヘレンの初対面の時。ヘレンはアニーに近づき、その全身を手で探る。それはふたりの闘いの始まりだった。ヘレンは、自分の言いなりにならないアニーを2階の部屋に閉じ込める。皆が大騒ぎしている頃、部屋の鍵を井戸に落したヘレンは、うれしそうに自分自身を抱きしめるのだった。
■いよいよヘレンとアニーの本格的な闘いが始まった。食事の席、全員の皿を自由に渡り歩き、手掴みで食べるヘレン。それを撥ね付けるアニー。しかしヘレンは諦めない。ヘレンのしたいようにと言うアーサーを拒絶し、アニーは家族全員を食堂から追い出してしまう。アニーは、ヘレンを椅子に座らせ、皿からスプーンで食べさせようとするが、ヘレンはあくまでも抵抗する。ふたりの一歩も引かない闘いが続く。やっと食堂のドアが開いて、ボロボロになったヘレンと疲れ果てたアニーが出てくる。そして、アニーは、ヘレンが自分の皿からスプーンで食べ、ナプキンをたたんだとケートに報告する。アニーの余りの乱暴さ加減に激怒するアーサーに対し、アニーは、ヘレンが自分の言うことを聞くようにするために、二人だけの生活をさせて欲しいと提案する。
■アニーの提案は、母ケートにとっては耐えられない寂しさを伴うことであった。その母の説得により、わずか2週間という期限付きで受け入れられることになった。その間にアニーは、ヘレンを表面上行儀の良いおとなしい少女に変えることに成功する。しかし、アニーにとってそれは何の意味もないことであった。アニーがヘレンに教えたいのは「ことば」。ものには名前があることだった。アルファベットを何百回手に綴っても、まねをするだけのヘレン。このまま両親の元にヘレンを帰すと、全てが無駄になってしまう。アニーはケートにもっと時間が欲しいと懇願するが、ケートはヘレンを連れ帰ってしまう。家族揃っての夕食の席、ヘレンはナプキンを外し床に落した。落したナプキンを付けてやるアニー、それを外すヘレン。かくしてまた二人の闘いは始まる。それはアニーとヘレンの最後の闘いでもある。水をこぼしたヘレンに、自分で水を汲ませようと引きずってポンプまで連れて行くアニー。そこで奇跡は起きたのであった…
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