11月29日。私は九州大学21世紀プログラムに合格した。
このプログラムを知ったのは今年の8月だった。21世紀プログラムには、専門性
の高いゼネラリストを育てるため、学部にこだわらず、あらゆる学部から自分の興
味ある講義を選ぶことができる。さらに国外も含めた外での学びも重要であると考
えている。私はこのプログラムに大変興味を持つと同時に自分の求めている学びと
重なると思った。
21世紀プログラムは受験の行い方も変わっているので紹介したい。9月中旬に願
書の受付を行う。もし、100人を超えた場合は願書に含まれる調査書と志望理由書
によって、予備選抜を行う。10月5日、第一次試験が行われた。ここでは、3つの
講義を各50〜60分受けて、各講義ごとに60〜70分レポートを書く。私の試験の第一
講義は地図の変化によって人間がどのように変化したかを考える講義、第2講義で
は科学研究活動を考え、観察するとはどういうことかという講義、第3講義では脈
拍数を実際に測定する講義であった。ひとつの講義を受けるごとにレポートとして
問題に答える。このテストは自分の意見、考えを持っているかが問われていると感
じた。
第一講義を終えて、10月下旬に合格者(一次試験受験者のうち約半分)には自分
のレポートのコピーと教授からの各レポートのコメントが送られてくる。このレポ
ートとしてコメントをもとに、第二次試験のプレゼンテーションの準備をする。第
二次試験ではプレゼンテーション、討論、面接の4つが行われた。プレゼンテーシ
ョンでは第一講義、第二講義、第三講義のいずれかに近いテーマをひとつ選び、発
表10分、質疑応答5分を受験者が10人一組で行った。一組に教授が3人ついたが質
疑応答はほとんど生徒同士のやりとりであった。
プレゼンテーションの後に生徒同士で30分間討論を行った。午前中にプレゼンテ
ーション、討論を行い、午後は190分の論文作成とその間に面接が行われた。この
論文というのはプレゼンテーションで発表したことを文章化するだけでなく、プレ
ゼンテーションの質疑応答や討論でのやりとりも含めなければならない。相手の意
見によって自分の意見をどれだけ高めることができるかが重要なのである。二次試
験ではプレゼンテーションや討論で積極的に参加し相手の意見を否定するのではな
く、相手の意見によって自分の意見を高めていくことができるかを問われていると
思った。この試験は一次も二次もおよそ9時間にわたる試験なのでかなりの体力が
必要だった。しかし、今振り返って、合否に関わらず受けてよかったと思う。
あるテーマに基づいて情報を収集し、自らの考えをまとめ、発表する。思えば、
ヨハネ研究の森で日ごろから行われていることであった。今までの学校ではできな
かったことだ。途中編入で、わずか2年という期間ではあったが、ヨハネ研究の森
コースの研究員として研鑽をつんだことで、知らず知らずのうちに、物事を深く追
求する姿勢が身に付いていたようだ。
4月からこのヨハネを卒業して九州大学21世紀プログラムに入学する予定だ。ヨ
ハネと21世紀プログラムを比較して、興味にあることを追及し幅広く基礎を身に付
けることができるという点では共通しているのではないかと思う。
(参考資料)
【九州大学21世紀プログラムの入学者選抜方法】
(募集要項より抜粋)
本プログラムに応募する学生に求められているのは、単に「試験に合格する」こ
とだけを目的とした知識ではなく、大学に入学後に徹底的に自己の能力を高めるた
めの旺盛な好奇心と柔軟な思考力、そして21世紀のリーダーシップを担おうとする
大きな志です。
こうした趣旨から、本プログラムの入学者選抜は、大学入試センター試験を課さ
ないアドミッションオフィス(AO)方式(総合評価方式)で行います。まず、第
一次選抜では、文系・理系にとらわれない3つの講義を聞いて、レポートを書いて
もらいます。そして、第一次選抜の合格者にはそのレポートに対するコメントを返
送しますので、それを踏まえて3講義いずれかに関係したテーマを決め、発表の準
備をしてもらいます。その上で、第二次選抜では、自分で決めたテーマの発表と受
験生同士の討論を行い、さらに最終のまとめの小論文を書いてもらいます。すなわ
ち、この選抜方法は本プログラムで入学した後の修学課程そのものを模したもので
あり、入学前の体験入学にもなるわけです。