卒業生の声

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関西学院大学進学
理系男子

親に反抗ばかりしていた私が、家族の有難さに気づくまで

家族から離れ寮制の学校へ
私は、ヨハネに入学するまで、公立の中学校に通う一般的な中学生でした。しかし、他の家と比べると、私の家族は親子の仲がとても悪かったのです。 私たち親子が現状のままではいけないということを、私も母も理解しており、母は私に寮制の学校に入学することを勧めました。私も、今の親子関係のまま家庭で過ごすより、学生寮で生活した方が気が楽だと思い、母と全国の寮制の学校を探していきました。

その中で、私は暁星国際学園と出会い、ヨハネ研究の森コースに入学します。当時、私は中学二年で、いくら家を出ようと思ったとはいえ、これから一人で暮らすということには心配を覚えた記憶があります。
ヨハネ研究の森で出会った他校にない学び
しかし、蓋を開けてみれば、ヨハネでは多くの方々が私をサポートしてくださいました。私にとって、高校三年生から小学生まで共に過ごす仲間や、知性と活気にあふれた先生方とのヨハネでの生活は、新鮮であり、また非常に楽しいものでもありました。

私がその中でも、特筆して良い経験だったと思うのは、ヨハネでの学びです。私たちヨハネ生は、通年で一つの研究テーマを追いかけ、全ての学年の生徒や先生方を含めた全員で検討を行います。江戸の検討をする年もあれば、人類史、あるいはヘレンケラーといった人物の検討を行う年もありました。

私たちは、そのテーマに向かって、各々の経験や知識を総動員して議論やレポート作成を行い、そのなかでこの世界にあふれる多種な問題や、多岐にわたる歴史的物事に対する目を養い、各々の興味関心へとその力を向けていきます。これは、このヨハネの学習の根本であり、他校にはない魅力です。もちろん僕もこの恩恵にあずかりました。その実体験を少し書こうと思います。
疑問を呼び起こすテーマ学習
私の子供の頃の夢は、科学者になることでした。当時は野球部に入っていた私ですが、部のインタビューやローカルテレビのインタビューでも、決まって喜色満面に「科学者になりたい」と言っていた記憶があります。 その私は、ヨハネに入学後も、最初はニュートンなどの科学雑誌を読んでいました。しかし、日が経つにつれて、ヨハネでのテーマ学習に心を引かれていきます。

ヨハネ研究の森で行われるテーマ学習は、運動方程式や化学反応式などの暗記を元に行われるものではなく、確かな事実や文章作成能力に基づいて、論理を構築していきます。 私も、科学者を志していたわけですから、根は理系でしたが、ヨハネで学んでいくにつれて、文系的な発想や疑問を持てるようになりました。

また、ヨハネのテーマ学習は、その検討を通して一人一人に、それぞれ違った疑問を呼び起こします。 人類史の検討から、ある人は社会の構造に疑問を持ち、ある人は文明の起源に興味を持ち、ある人は宗教と科学の関係に疑問を持ったりします。それは、各々がテーマ学習を通じて、真に意味のある力を身につけるからです。そして、私は特に「人間性」というものに興味を持ちました。
理系の領域から「人間性」を追求する
我々は何者で、なぜこうして集団で暮らし、我が物顔で世界を闊歩するまでに繁栄し、そして何を根拠に生きているのでしょうか。僕はヨハネでのテーマ学習を通じて、自らの存在や社会構造の根本となる「人間性」に目を向けたのです。

これは、時には多くの智と徳のある哲学者にとっての永遠の課題であり、常に歴史の中で問われ続けてきた問題です。私はこの人間性というものに興味を持ち、哲学や古典文学、社会学、経済学などの諸学問を横断的に検討しました。しかし、結局のところ、これらの学問から私の納得する答えを見つけだすことはできませんでした。

そして、高校3年生になり、進路の選択をしなければならなくなったとき、私は理系の学問に進むことを選択しました。ヨハネにいる間、私は人間性というものを文系の領域から検討しましたが、今度は理系の領域、特に私が進む人工知能の領域から研究してみたいと思ったからです。こうして、私は学習面において、「人間性」への問いに端を発し、理系から文系へ、文系から理系へと、ヨハネにいる間に大きくその興味の対象を変えていきました。
人間として成長できる場所
このようにヨハネでは、人生において自らの目標や解決すべき問いとなるものを各々が手にすることができます。それは卒業後、それぞれの道に進み、社会に出てからも変わりません。それは、私たちが常に学び続ける求道者になるということであり、ヨハネではこうした生涯を通した学習の核が形成されます。

そして、その核を手に入れるプロセスには、テーマ学習のみならず、日々の寮での楽しい生活など、多くの経験が含まれています。そうした中から、私たちは学習面だけでなく、人間としても成長を重ねていきます。私の場合も、昔は親が嫌いで仕方がなかったわけですが、こうした生活を通して、今は家族に感謝や尊敬の念を抱くようになりました。このように、ヨハネ生は日々心身共に成長し、大学や社会で活躍できるような人間になってゆくのです。