ヨハネ日本文化研究会:秀雲会(2/2)
今回のヨハネブログでは、前回に引き続き、「日本文化研究会:秀雲会」にてお能のお稽古をしたヨハネ生のレポートを紹介いたします。
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私は今回のお稽古を通して、日本の「芸事」の世界を垣間見ることができたように思います。芸事の基本は真似ることにあるのだと感じました。例えばピアノのレッスンでは、習い手の歩調に合わせ、一つ一つのメロディの弾き方を、手取り足取り、解説付きで教えることすらありますが、お能では弟子である私たちが、師匠である先生の背中を見、謡いを聴き、何度も通しで真似ながら、「見て学ぶ」というものでした。私にとっては基本的な歩き方や構え、またお扇子をひらくというような小さな動作一つをとってもとても難しく、苦戦してしまいましたが、皆さんの謡いの声に励まされるように一生懸命取り組みました。
興味深かったのは、感情が入り込みすぎると良くないため、「熊野」のような女性の舞は男性が舞う方がヨハネ生の良さが引き出されるのではないかとおっしゃっていたことです。「熊野」では男子が舞、私たちが謡いを担当し、もう一つのお酒呑みの神様と、酒宴に招かれた男性の舞である「猩々」では、私たちが舞い、男子が謡をする、という形で稽古をつけていただきました。低い声を、独特の響かせ方で出すのが難しかったのですが、先生はとてもあたたかく見守ってくださいました。今後は私たちなりに、女性の声にできる謡をどのようにつくっていくかが課題です。
謡は、誰かがリードをし、そこに合わせていく、という方法で行いました。誰もリードがいないと全員が遠慮がちになってしまい、中々声が揃わないのですが、ひとりリードが決まると、皆でそこに合わせるように声が響いてくるのが不思議です。リードが変わると全体の声色も変わるのです。私はなんだか、ヨハネの生活の中で、誰かがエネルギッシュに動いている時に、その波に乗るような感覚で”協力”する、あの感じに似ているな、と思いました。
一度先生の舞を拝見した時から胸の中に溢れていた強い憧れが、このような形で実を結び、ともに「初穂」となれたことに大きな喜びを感じております。師匠の背中を見て、お能の世界を体現できるような能師を目指すべく、研究会の皆さんとこれからも高め合い、学んでまいります!
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今回の活動は、ヨハネ生のそれぞれが、能の美しさ、能に象徴される日本文化の独自性を、身体で感じる機会となりました。今もそれぞれの研究室で自主的な稽古を続けています。今後のヨハネ日本文化研究会:秀雲会の活躍をご期待ください。