セッション「音楽とは何か」
3月5日に開催されるコンサートに備え、ヨハネ研究の森では
日々、聖歌隊としての歌練習に励んでいます。
今回のセッションでは、その「音楽」をテーマとして、
人類史において「音楽」がもつ役割を検討していきました。
私たちが取り組んでいる「音楽」は、共同体の成立や
人間同士の共感・共鳴に、たいへん大きな役割を果たします。
これまで学んできた「共通語」や、民主主義・民族の問題と、
「音楽」の検討が、実は密接に結びついているのです。
唱歌や聖歌は、国や年代の違いを超えて、多くの人々に
共通する感情を呼び起こすことが知られています。
日本人も、「ふるさと」や「埴生の宿」などを聞くと、
故郷の歌、自分たちの歌だという感覚を抱くものです。
しかし、私たちに馴染みの深いこうしたメロディーは、
明治以前の日本には存在しませんでした。
それどころか、当時の日本には共通する話し言葉もなく、
人々が同じ言葉を通して感じ、考えることすら
難しかったのではないかともいわれています。
そのような中、学校という近代の装置を通して
全国に広く伝えられたもののひとつが、
唱歌をはじめとする「音楽」でした。
その「音楽」が私たちにもたらしたものとは、
一体なんだったのでしょう。
こうした歴史認識の共有からはじまり、セッションは、
言葉のはじまりと音楽の関係、音楽の起源、
そして唱歌が私たちにもたらした影響の本質…と、
私たちの思索を広げながら進んでいきました。
また、ヨハンナ研究室の「言語と音楽」に関する報告や、
カンボジア3Dプロジェクト参加者による、日本と
カンボジアでの音楽体験の違いに関する報告もあり、
今回も活気あふれるセッションが展開されました。
言葉や論理を超えて、人間に共感と共鳴を生み出す
「音楽」とは、いったい何なのでしょう。
ヨハネ研究では、日々の実践を通して、これからも
継続して探究が進められていきます。