ヨハネ通信

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2024年度サマースクールのご報告(4/4) ミクロの世界

セッションの後は、顕微鏡で皆が集めてきた畑の土や森の土を観察しました。

なんの変哲もない小さな黒い団粒を顕微鏡で覗いてみると、菌糸が見えました。朝露に濡れた蜘蛛の巣のようです。また入れ子のように粒が組み合わさってできているという団粒の構造も、実際に観察することができました。琥珀色の粒やオレンジ色の粒、なめし革のような色をした粒が大小さまざまに組み合わさった、色とりどりの宝石のような形をしていて、美しさに心が震えました。

さらに先生が土壌生物だけをおびき出せるツルグレン装置に土をかけてくださり、取ってきたばかりの森の土にいた生き物たちを観察することもできました。装置の下にあるビーカーに、段々と小さな黒ゴマのようなものがぽつぽつ増えていきます。それは熱さと乾燥から逃げてきた生き物たちなのです。先生のお話にあった団粒の中にいる土壌生物たちが次々と見つかり、あちこちのテーブルから興奮の声が上がりました。顕微鏡で見てみると、ただの塵のようだった黒い点に、目があったり、うねうねと動いていたりします。”足がたくさんあるね!””なんの虫だろう?”研究所の方々が来てくださり、「これはムカデかヤスデの幼体ですよ」と教えてくださいました。別のシャーレでは、小豆色をしたてんとう虫のような丸い虫が、植物のかけらを引っ張り合っていたのですが、なんとそれがダニだったと聞き、日頃あまり良いイメージのなかったダニが、実は可愛らしい姿をしていたことに驚きを覚えます。

肉眼の世界に触れ、ミクロの世界を冒険したあとは、世界中の土壌の標本がある、農業環境インベントリー展示館に行き、マクロの世界を旅しました。思いの外鮮やかな色をしていて、サマースクール生が「土だけで絵が描けそうだね」と感激していました。

このワークショップを通して、実際に土を手で触れ、目で見て、土とも先生とも対話しながら、今まで見えなかった世界が切り開かれていくのを感じました。日本の環境・農・食に関わる最先端の研究の現場に、小学生や中高生である私達をお招きくださり、暖かい心で関わってくださった和穎先生には、感謝の思いでいっぱいです。和穎先生は、文献から知識を深めることだけでなく、実際に土に触れて様々なことを感じる、「センス・オブ・ワンダー」の大切さを伝えてくださったように思います。

今私は、地球の環境の中で生まれ、生き物によって育まれ、生き物を育んできた土というシステムの面白さに、すっかり心を奪われています。皆でこれからも土壌の研究を続けていこうと決意しています。

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