ヨハネ通信

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2024年度サマースクールのご報告(2/4) 試験農場にて

雨の上がったばかりの研究所を、和穎先生について圃場に向かって歩いていきます。まずご案内いただいたのは、栽培方法の異なる二つの大豆畑でした。向かって右手はトラクターを入れて土を耕し化学肥料を与える、従来型の「慣行栽培」を行っている畑、左手は土を耕さず、肥料に森の落ち葉堆肥を与えている「不耕起栽培」の畑です。

「二つの畑にはどんな違いがあると思う?」

先生は少年のような瞳で、私たちに問いかけます。二つの畑は同じ種類の大豆を育てているのですが、そこには歴然とした違いがありました。

“不耕起栽培の方は、雑草がいっぱい生えている!”
“慣行栽培は背の高さがばらばら!”
“なんだか慣行栽培の方が元気に見える!”

次々に声が上がります。不耕起栽培は一言でいうと非常に「多様」です。まず大豆たちの隙間にイネのような雑草たちが所狭しと生えていることに驚かされます。株の大きさも、伸び伸びと育って慣行栽培のものの背丈を優に超えているものもあれば、控えめなサイズに留まっているものもあり、全く均質ではありません。一方、慣行栽培の畑では雑草は見当たらず、全ての株が均一に生え揃っています。多くの人が畑と聞いてイメージするような、典型的な姿です。一見、慣行栽培の方が多くの収穫がありそうな印象も受けますが、総量としては不耕起栽培の方が慣行栽培よりも多くの大豆が取れるそうです。

不耕起栽培では土が掘り返されず、落ち葉によって土が豊かになっています。そのような環境では、森の中のように多くの落ち葉が堆積し、それが生き物たちによって分解されることで、良い土壌にとって欠かせない腐植が作られます。

私たちは貴重な畑の土をスコップで掘らせていただいたのですが、慣行栽培よりも不耕起栽培の方が土の色が濃く、手で触れるとふかふかで、ワークショップの直前に雨が降ったばかりなのに、まったくドロドロではありませんでした。そして、土の中には大小さまざまな土の塊が混ざり合っています。これは土の中の生き物たちが作った「団粒」と呼ばれるものです。団粒は土を豊かにする微生物の住み家であり、農業をする上で欠かせない土壌の高い保水性と排水性を両立してくれます。

また、二つの畑の端に生えていた雑草を抜こうとすると、慣行栽培の雑草はするりと抜けた一方、不耕起栽培の方では根があまりにもしっかり張っていて、力を入れてもなかなか抜けません。抜けた雑草を比較すると一目瞭然、慣行栽培の方の雑草はか細いちょびヒゲのような根っこでしたが、不耕起栽培では何本にも枝分かれした逞しい根が伸びていました。

「良い土とは何か」を、手触りや色、匂いから感じ取ることのできた時間でした。

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