東京工業大学地球史資料館見学の報告

   丸山茂徳教授の特別講座前の東京工業大学地球史資料館見学の報告

                              ヨハネ研究の森コース 主任研究員 保科正義

 丸山茂徳先生(東京工業大学大学院理工学研究科地球惑星科学教授)の 特別講座を2週間後に控えた2月7日(土)、ヨハネ研究の森の中間休暇日を利用し、 東京工業大学の地球史資料館 見学に行ってきました。
興奮覚めやらぬ現場からの報告をいたします。

 参加メンバーは中学1年生が1名、中学3年生が2名、高校1年生が1名と私です。
12時に大学正門で待ち合わせ。2名は六本木巡りをしながら到着、 ほかの2名は大学図書館で過ごした後登場。そば屋で腹ごしらえをした後資料館に向かいました。

 資料館には老地質学者の女性が一人でいらっしゃいました。もちろんすぐに地質学者だと わかったわけではありません。 生徒達は早速岩石を見始めました。私は来館の趣旨や21日に丸山先生にお越しいただく ことなどを話しながらどなたか展示物の説明をできる方に来ていただけないかお願いを しようと考えていました。
 たまたま目の前にあった地球の立体モデルが気になったので中をのぞくと、その女性は 構造の説明を実に詳しくされ始めました。参加者の一人が「なんだか詳しく知っていますね。」 などと近くに寄ってきながら失礼なことを言うのではらはらしましたが、 全く意に介さないようにきらきらとした目でお話を続けられます。

 「作ってみるとホットスポットが意外と多くてプルームでは説明できない部分ね。 今は誰もホットスポットについては説明できない状態ね。」 「今まで5つのモデルを作ってきたけど作りながら表層と境界層のところの関係がわかって きたなんてことがあるのよ。」 中3の二人もメモを持ってよってきて熱心にお話を聞き始める。なにやらいつものヨハネの セッションのようになってきました。 老先生が一級のファシリテーターで私がへぼコーディネーターですね。

 老先生は地球惑星科学に聴講生としてかかわり、これまでの地球科学のデーターを基に地球の 立体モデルを作っているメンバーの一人だったのです。もちろんお若い頃は盛んにフィールド ワークをされていて岩石の状態を肌で知っていらっしゃる。不思議と岩石のある状態が生き生きと 私の頭の中にイメージされるのです。しかもウエゲナーが大好きで当時の時代背景や科学と道具の 限界の関係などにも話が及びます。
当然これまでの様々な理論がどんな人間ドラマの中で生み出されてきたものかをご存じなわけです。 ヨハネ生の一人が描いた地球内部の絵を基にヨハネで議論していたのですが平面図ではなかなか イメージがふくらまず今度は立体モデルに挑戦しようということになっていましたから目の前の 立体模型が実に生き生きと迫ってきます。

こうなったらセッションは止まりません。あっという間に2時間半が経過。これまで断片的だった 知識がすっきりと地球の形になっているではありませんか。
皆、顔を紅潮させて「ありがとうございました。」
しかし、今日は岩石を見学しにきたはず。閉館まで時間がほとんどありません。あわてて、 見せていただきましたが時間切れ。各自また見学させていただくことになりました。

  最後のお言葉「今は人間がこれまでにない技術力を手にしたおかげで様々なことの関連性が 見えてきて科学が飛躍するとき。私たちは実にいい時代に生きていると思う。私は自分が 住んでいるから地球のことを考えてきた。地球を誰にも負けないくらい考えることで いろいろなことがわかってきた。博学になる必要はない。みなさんも何か一つ足場にして誰にも 負けないものにしていくことが大切。知らないことは知らないっていえることは大切なことよ。 これからはみんなにがんばってもらわないと。先生すばらしい生徒さん達ですね。」をいただきました。 さらに大学に版権のある立体模型製作用の全地球地質図(プレートの動きまでわかる)の コピーをヨハネで立体モデル製作用に送ってくださることに。
すごい見学会になりました。

なお、このあと、2月10日(火)に永森主任研究員がヨハネ生12名を引率してこの資料館を訪れています。
写真は、その日の模様です。

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